今年の1月にノーベル賞受賞者の江崎玲於奈先生が日経新聞の「私の履歴書」を執筆された。先生のお考えの中には、
随所に二元性という言葉が出てくる。量子論における電子の粒子性と波動性から、サイエンスにおける二面性として、一つは、客観的、論理的、
理性的で冷徹なロゴス的な面、もう一つは、主観的、個性的、情感的で創造性豊かなパトス的な面、としています。更に、知的能力は、
一つはものごとを理解し判断する分別力と、もう一つは新しいアイデアを生み出す創造力と、二元性を持つといいます。
私達のからだ
の働きから見れば、一方はマインド(知性)へ、もう一方はハート(感情)につながるとしています。
これまでの物質科学の論者は、サイエンスとして江崎先生が指摘するロゴス的な一面のみを絶対的なものとして取上げ、
パトス的な面は客観性がないと否定してきました。従い、既存の殆どの学会は、物質科学を前提に分野を細分化し、明確な価値基準を持ち、
その価値基準に合致するかどうかが重大な判断要素になっております。それらの学会からすれば、サトルエネルギー学会(以下当学会という)
のあり方はまったく異質ですから、理解できないでしょう。
当学会が取上げる波動は、江崎先生が指摘する、量子力学の波動性を根拠に、サイエンスにおけるパトス的な一面を担っているといえます。
従い、当学会では、これまでの物質科学を前提としたロゴス的な価値基準のみを絶対的なものとはせず、
パトス的な価値判断をも合わせて論議しているといえます。また、
全体を部分ごとに細分化していくよりも全体を丸ごとお互いのかかわりを観察しているといえます。具体的には、
正しいとか間違っているとかの論議ではなく、色々な見方を提示し、お互いに理解しあい、
お互いの意識を高めあうことが重要なことと考えております。これから地球上が一つになっていくには、当学会が目指すように、
多様な価値観をお互いに理解し合うことが非常に大切ではないでしょうか。
このような意識を世界に広げていこうというのが、今号が取上げた昨年秋の大会であり、海外から二人の演者を迎え、更に、
場のエネルギーを高め、参加者の感性を高めるべく演舞者のご協力も頂きました。今号の発行に当たっては、ご出演者のご協力はもとよりながら、
海外からのご講演者に対するフォローや翻訳等多くの方のご協力に感謝申し上げます。
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