1月15日発行の東大新報にウルグアイ前大統領サンギネッティ氏の講演要旨が掲載され
ていましたが、その見出しに「グローバル化が弊害をもたらす」と表現されていました。この
表現から受ける印象は、グローバル化は弊害をもたらすので良くないとか困るとか、価値判
断が入っているように思います。そこで私はサンギネッティ氏の講演要旨をよく読んでみ
ました。たしかに、サンギネッティ氏は現在の社会が多くの矛盾や問題を抱えていること
を指摘していますが、グローバル化こそがそれらの原因であるとはいっていないし、グロ
ーバル化に反対だとか賛成できないという主張ではないように思う。
グローバル化という言葉にどのような意味をもたせるのか、人によって異なるのかもしれ
ませんが、私はこれまでの国家間のいろいろな境界あるいは垣根が低くなり、地球上の諸民
族あるいは諸国家が融合していこうとしている過程ととらえています。
グローバル化が良いとか悪いとか論じているのは、ちょうど江戸時代の末期に攘夷(鎖国)か
開国かを論じていたのに似ていると思います。結局時代の流れは開国であり、問題は開国の
仕方だったのです。グローバル化についても同じように思います。時代の流れは明らかにグ
ローバル化に向って進展しているのです。現在問題となっている環境問題等地球全体とし
ての観点を持たずには対応が困難といえます。グローバル化そのものが良いとか悪いとか
いうことでなく、どのようなグローバル化が望ましいのか、民族や国家の対立や利害をどの
ように調整していくのか。サンギネッティ氏は、「今はいったん立ち止まって反省をする時
だ」といっていますが、グローバル化をどのような方向にどのようにして進めていくのか、
人類としての叡智が問われているように思います。 |